「No Money Day(NMD)とは?FIRE達成を加速する『お金を使わない日』5つの効果」

節約術

「No Money Day ノーマネーデー」という日をご存じですか?

SNSの節約界隈では「NMD」と略されて使われている言葉で、文字通り 1日まったくお金を使わない日 のこと。家計簿アプリでも記録機能があるほど定着している、節約・貯金の定番テクニックです。

FIREを目指し始めて色々と取り組んでいますが、NMDという言葉は初めて知りました。ただ最近、食費が夫婦2人で毎月12〜13万円になっていることを気にしていて、もうちょっとなんとかならないかとあれこれ画策していたところ、このNMDというテクニックに出会ったのです。

米は毎日炊いているのに、ちょっとUber Eatsでコーヒー、おいしいハンバーガーが評判と聞けばまたUber Eatsで検索して注文、最近は宅食のnoshにもハマっていて……気づけば財布のお金より、お腹に届く料理のほうが先回りしている毎日。休日は1日1回は利用してしまうUber Eatsを、なんとか止めたい。

そのため、この記事を書いているまさに本日を、わたしの最初のNMDとして設定して取り組むことにしました。

そしてもう一つ、この記事の根っこにある考え方を先にお伝えしておきます。

収入を増やすよりも、支出を減らすほうが簡単。

FIREを目指すうえで、わたしが一番大切にしている軸です。なぜNMDがFIRE達成にこれほど効くのか、この軸を中心に紐解いていきます。

No Money Dayの言い出しっぺは誰? いつから始まった?

意外と知られていませんが、「お金を使わない日」というアイデアの源流ははっきりしています。

始まりは 1992年9月、カナダ・バンクーバー。カナダ人アーティスト Ted Dave(テッド・デイブ)氏 が提唱した「Buy Nothing Day(バイ・ナッシング・デー/何も買わない日)」が原点です。

その後、反消費主義を掲げるカナダの雑誌「Adbusters(アドバスターズ)」(創設者カレ・ラスン氏)がこのムーブメントを世界中に広めました。当初は9月24日に行われていましたが、1997年からはアメリカの感謝祭翌日=ブラックフライデーに合わせて開催されるようになります。「1年で最も買い物が過熱する日に、あえて何も買わない」というメッセージ性を強めるためでした。

出来事
1992年9月 Ted DaveがBuy Nothing Dayを提唱(カナダ・バンクーバー)
1990年代後半 雑誌Adbustersが世界に発信、各国に広がる
1997年 開催日をブラックフライデーに変更
1999年 日本でも観測されるようになる
2001年頃 35カ国以上で実施される国際的な日に

出典:Wikipedia英語版「Buy Nothing Day」、Britannica「Buy Nothing Day」

もともとは「過剰消費に対する社会的な抗議運動」として生まれたものでした。地球環境への負荷、広告に煽られて買わされ続ける現代人の消費行動への問題提起。つまり、最初のNMDは「節約」ではなく「思想」だったのです。

「思想」から「貯金術」への変化

では現代日本の「ノーマネーデー(NMD)」はどうでしょうか。

こちらはBuy Nothing Dayとは少し性格が違います。日経WOMANなどの女性向け雑誌やSNS(特にInstagram、X)の節約系アカウントを通じて広まり、「過剰消費への抗議」というより「家計管理・貯金のための個人習慣」として定着しました。

「年に1回ブラックフライデーに何も買わない」のではなく、「週に2〜3回、自分の意思でお金を使わない日を作る」という、より日常的・習慣的なものに変化したのです。

日経WOMANのアンケート調査によれば、週に1日以上のNMDを設けている人は7割以上。週1〜3回がボリュームゾーンで、わたしのように「毎日財布を開ける派」は約2割の少数派でした。

NMDの基本ルール

では、現代の貯金術としてのNMDには、どんなルールがあるのでしょうか。各種の節約コミュニティで共通している基本ルールは次の3つです。

ルール 内容
支払い手段すべてを対象に 現金・電子マネー・クレジットカードを含めて、支出ゼロの日をNMDとカウントする
固定費は除外 家賃、サブスクなどの自動引き落としはカウントしない
対象は「自分の意思で発生させる支出」 食費・日用品・カフェ・外食・ネットショッピングなど、自分の選択で発生する支出をゼロにする

つまりNMDは、「生活の根幹を止める日」ではなく、「無意識の支出を止める日」です。家賃が引き落とされる日でも、自分が一切財布を開かなければNMDとしてカウントできます。

NMDの効果として言われていること

NMDを実践している人たちが口を揃えて挙げる効果が、いくつかあります。

1. 支出への意識が上がる
「今日NMDにできるかな?」と考えるだけで、衝動買いが減ります。財布を開く前に、ワンクッションが入るようになるのです。

2. 可視化のモチベーションが生まれる
月にNMDが何日あったかを数えると、ゲーム感覚になります。カレンダーに○をつけたり、家計簿アプリのスタンプ機能を使うと、節約が「数字を伸ばす遊び」に変わります。

3. まとめ買い習慣がつく
「毎日コンビニに寄る」という習慣を見直すきっかけになります。週に1〜2回の買い物で済ませるよう設計し直すと、ついで買いが激減します。

NMD実践者の体感としては、月10日のNMDを目標にする人が多い印象です。週に2〜3日のペースなので、無理なく続けられる現実的なライン。最初から月20日を目指すより、まずは月10日を目標にしたほうが習慣化しやすそうです。

我が家の食費は、平均より年60万円多い

総務省「家計調査」2025年版によると、2人暮らし(勤労者世帯・世帯主60歳未満)の食費の平均は76,880円。物価高の影響で前年から+2.2%上がっているとはいえ、我が家とはこんなに差があります。

項目 2人暮らし平均(2025年) 我が家 差額
食費(月) 76,880円 120,000〜130,000円 約+4.8万円
食費(年) 約92万円 約144〜156万円 約+60万円

出典:総務省統計局「家計調査 家計収支編 2025年」第3-1表より

年間で約60万円。これは「ちょっとUber Eats」の積み重ねです。1回1,500円だとしても、月に40回頼めば6万円。我が家ではほぼ近い感覚で頼んでいる気がします。

フードデリバリー利用者の平均は月6,567円

対策を打つ前に、現状を正しく知る必要があります。世の中の人は、フードデリバリーにいくら使っているのでしょうか。

家計簿アプリ「Zaim」が実際の購買データから集計した調査(2023年4月、Uber Eats/出前館/Wolt/menuの利用者対象)によると、平均値は次の通りです。

項目 フードデリバリー利用者の平均
月の支出額 6,567円
月の利用回数 3.4回
1回あたりの支出 1,923円

出典:株式会社くふうカンパニー「家計簿アプリZaim 2023年4月の購買データ集計」

月3.4回。つまり、平均的な利用者でも月に3〜4回しか頼んでいないということです。「フードデリバリーを日常的に使っている人たち」の平均ですらこの数字なのです。

さらに、フードデリバリーを月1回以上利用している日本人の割合は、調査によれば 23.5%。アメリカ(58.4%)やフランス(54.2%)と比べると、日本ではまだ「日常的なフードデリバリー利用」は少数派です。

では、わたしの場合はどうでしょうか。

項目 利用者平均 我が家(推定)
月の利用回数 3.4回 休日中心に月8〜10回 約3倍
月の支出額 6,567円 約20,000円〜 約3倍

休日に1日1回はUber Eatsを使っている我が家は、平均の 約3倍 使っている計算になります。「みんなも使っているから普通でしょ」という感覚は、データで見ると違っていました。

ちなみに、フードデリバリーを使わない理由として最も多いのは 「高い」が59.0%。世の中の多くの人は、価格を理由にあえて控えています。

現状を数字で見てしまうと、もう「みんな使ってるから」とは言えません。じゃあ、なぜUber Eatsはこんなに高いのか。次にその構造を見ていきます。

Uber Eatsが家計を蝕む構造

ここで、Uber Eatsの料金構造を冷静に見てみます。Business Insider Japanの2026年3月の記事では、フードデリバリー業界では従来、店頭より3〜4割上乗せされているケースが多かったと報じられています。

最近は「お店と同じ価格」サービスも始まっていますが、対象は全店舗ではなく、サービス料(商品代金の14%、上限450円)と配達手数料は別途かかります。

項目 店頭で食べる場合 Uber Eatsで頼む場合
商品代金 1,000円 1,000〜1,500円(最大3〜5割増のケースあり)
サービス手数料 0円 商品代金の14%(上限450円)
配達手数料 0円 50円〜1,000円(変動制)
合計目安 1,000円 1,400〜2,000円

店頭で1,000円のラーメンが、自宅に届くと1,400〜2,000円になっている。これは「家から動かない税」のようなものです。月に20回頼めば、その上乗せだけで1万円が静かに溶けています。

4%ルールで考える「支出を減らす」威力

ここからが本題です。

FIRE理論の根幹である「4%ルール」(米トリニティ大学の論文「Retirement Savings: Choosing a Withdrawal Rate That Is Sustainable」Cooley・Hubbard・Walz, 1998年が出典)は、こう言っています。

年間支出の25倍の資産があれば、毎年4%ずつ取り崩しても30年以上枯渇しない可能性が高い。

逆算すると、こうなります。
月の支出を1万円減らせば、FIRE達成に必要な資産は300万円少なくて済む。

これが食費5万円減なら――

月の支出削減額 年間削減額 FIRE目標額の減少(年間支出×25倍)
1万円 12万円 −300万円
3万円 36万円 −900万円
5万円 60万円 −1,500万円

月5万円分のUber Eatsとnoshを抑えられれば、FIRE目標額が1,500万円下がる。

ここで冒頭の話に戻ります。収入を増やすよりも、支出を減らすほうが簡単──これがFIREを目指すわたしの基盤の考え方です。

収入を月5万円増やすのは、転職するか、副業を本格化するか、昇給交渉に挑むか。どれもエネルギーと時間と運が必要です。しかも増えた収入には所得税・住民税・社会保険料がかかるので、手取りベースでは3〜4万円にしかなりません。

一方、支出を月5万円減らすのは、Uber Eatsを我慢するだけ。減らした分は税金がかからず、まるごと貯蓄・投資に回せます。同じ「月5万円」でも、節約のほうが効率がいいのです。

クリスティー・シェン著「FIRE 最強の早期リタイア術」でも、著者は「節約は最強の利回り」と繰り返し書いています。実際に彼女は支出を最小化することで30代でリタイアを達成しました。

ラテマネーという考え方

アメリカの資産形成本「The Automatic Millionaire」(デヴィッド・バック著)に出てくる有名な概念に「ラテマネー」があります。

毎日5ドルのカフェラテを買う。それだけで、数十年で数千万円規模の機会損失になる、という話です。

我が家の場合、これが「Uber Eatsマネー」です。1回1,500円のUber Eatsを週3回頼めば、月18,000円、年21.6万円。

運用期間 年21.6万円を年利5%で運用した場合の到達額
10年後 約272万円
20年後 約715万円
30年後 約1,435万円

1杯のコーヒーや1杯のラーメンが、未来の1,000万円超えと交換されている。

NMDがFIREに効く5つの理由

ここまでの話を整理すると、NMDがFIREに効く理由は次の通りです。

1. 支出削減効果が25倍になる
4%ルールの逆算で、月1万円減=FIRE目標300万円減。これほど確実な「FIRE短縮装置」はありません。

2. 衝動的なUber Eatsを物理的に止める
「今日はNMDだから」という外部ルールが、感情的な注文を遮断します。意志の力で我慢するのではなく、ルールが代わりに守ってくれる構造です。

3. 食材の使い切り意識が育つ
冷蔵庫にあるもので作る日が増えるほど、フードロスが減ります。これは家計だけでなく、環境への配慮にもつながります。

4. 「お金を使わない満足」を再発見できる
散歩、読書、家での手作りコーヒー。お金を使わない時間にこそ、本来の自分の好みが現れます。

5. 支出パターンが見える化する
NMDを作ることで初めて、「いつ・なぜ使っているか」が浮かび上がります。お金を使う日と使わない日のコントラストが、自分の浪費パターンを浮き彫りにしてくれます。

「全くできない人」が始める1歩目

自分にも適用できそうな「最初の1歩」を考えました。

① 週1回、日曜日だけNMDにする
週20日のNMDを目指すのではなく、まず週1回。月4回。日曜日は外出予定が決まっていることが多く、家でゆっくり過ごしやすいので、コンビニや外食に流される機会を減らせます。月曜日からの1週間を、財布を閉じた状態でスタートできる気持ちよさもあります。

② 日曜の夜に冷蔵庫の在庫を全部書き出す
noshの冷凍庫の在庫を可視化すれば、「今日はnoshがあるから大丈夫」という選択肢が増えます。見えないと、ないのと同じです。

③ Uber Eatsアプリを1画面目から削除する
物理的に注文しにくくする。検索して開く一手間で、衝動を切れることがあります。

④ NMD成功日にカレンダーに○をつける
可視化はゲーム感覚を生みます。月に何回○がついたか数えるだけで、立派な自己肯定感になります。

まとめ

収入を増やすよりも、支出を減らすほうが簡単。これがFIREを目指すわたしの軸です。

月5万円の食費削減は、FIRE目標を1,500万円下げる威力があります。これは数学の話で、感情の話ではありません。

NMDを「未来の自由を25倍速で買う行動」として、取り組んでみます。

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