ショートカットにして7年になります。
昔はロングでしたが、今ではショートが自分の標準になっています。
ショートカットは、ほんの少し伸びただけでシルエットが崩れ、毛先のラインが乱れます。維持という一点でいえば、ショートはむしろ手のかかる髪型なのです。
ショートこそ「通う」髪型です
髪が伸びるスピードは、おおよそ1か月に1cmといわれています。ロングなら1cmの変化はほとんど気づかれませんが、ショートにとっての1cmは致命的です。襟足が重くなり、耳まわりがもたつき、トップのボリュームが沈みます。100点で仕上げてもらった状態は、そこから日に日に崩れていきます。
実際、美容のプロも「ショートはシルエットが崩れやすいため、1か月ごとに整えると常にきれいな状態を保てる」と口をそろえます。髪型別の来店頻度の目安を整理すると、こんな具合です。
| 髪型 | 来店頻度の目安 | 理由 |
|---|---|---|
| ショート | 約1か月ごと | 少し伸びるだけでシルエットが崩れる |
| ミディアム | 約2〜2.5か月ごと | 肩に乗る長さで多少の伸びは収まる |
| ロング・ボブ | 約2か月ごと | 重みがあり形をキープしやすい |
では、実際にみんなはどのくらいの頻度で通っているのでしょうか。ここで、私と同じ40代女性のデータを見てみます。
ある調査によると、40代女性が美容院に行く年間の利用回数は、平均で約4.1回。だいたい3か月に1回のペースです。おもしろいことに、年代別で見ると若い世代よりも40代以降のほうが回数が増えていく傾向があり、白髪ケアなどのメンテナンス需要が背景にあるようです。
その40代女性の、年間来店回数の内訳がこちらです。
| 年間の来店回数 | 割合 |
|---|---|
| 1回 | 20.6% |
| 2〜3回 | 24.3% |
| 4〜5回 | 31.2% |
| 6〜11回 | 17.1% |
| 12回以上 | 6.8% |
いちばん多いのは「4〜5回」で、年5回以下の人が約8割を占めます。そして、私のように月1回以上(年12回以上)通う人は、わずか6.8%。40代女性のなかでは、ほんのひと握りなのです。
私は基本的に月1回、気になるときは3週間ほどで駆け込むこともあります。一度気になりだすともう無理。髪の毛が気になって仕方がなくなるからです。
清潔感は、ショートに正直に出ます
ショートは、ごまかしが効きません。襟足がうっすら伸びただけで、後ろ姿の印象が一気に変わります。だから清潔感には人一倍気をつけていて、月1回のメンテナンスを欠かしません。
襟足が見えてしまうのはショートの宿命ですが、脱毛を済ませているので、そこは心配がありません。うなじをいつもすっきり保てます。そう考えると、ショートカットは美意識がそのまま外に出てしまう髪型なのだと思います。手をかけた分も、かけなかった分も、正直に表れます。
髪は「神」に通じる、というお話
日本では奈良時代から、髪の「髪」は神の「神」と同じものとして捉えられ、髪は神様に通じる存在と考えられてきました。発音が同じであることも、その感覚を後押ししたのでしょう。髪は生命力のシンボルであり、命の化身として崇められ、願掛けや呪術にも使われてきたといいます。
その名残は今も残っています。京都・嵯峨嵐山には日本で唯一とされる髪の神様を祀る「御髪神社」があり、献髪料を納めて自分の髪を少し切り、境内の「髪塚」に納める「献髪」という風習が続いています。理美容業界の人たちからも長く崇敬されてきた場所です。
髪に力が宿るという発想は、日本だけのものではありません。旧約聖書のサムソンは、髪に怪力の源が宿り、それを切られたとたん力を失いました。ネイティブアメリカンの世界でも、髪は直感や第六感とつながるアンテナのように捉えられてきたといいます。文化を越えて、人は髪に「ただの毛」以上の何かを感じ取ってきたわけです。
そして、こんな見方もあります。髪、とくに毛先は邪気を宿しやすい、という言い伝えです。負のエネルギーを受けすぎたときは、切ることで心まで軽くなる、と。
私はもともと、エネルギーを溜め込みやすいタイプです。だから頻繁に美容院に行って、髪と一緒に余分なものを落とすようにしています。月1回の美容院は、私にとってシルエットのメンテナンスであると同時に、心のメンテナンスでもあるのです。
スピリチュアルと科学
行動科学には「フレッシュスタート効果(fresh start effect)」という概念があります。Dai・Milkman・Riis らの研究で知られるもので、ある区切りを境に、人は新たなエネルギーと行動への意欲を得やすくなる、というものです。髪を切るという行為は、まさにその「区切り」を体に刻む行動になります。
さらに、Adam と Galinsky(2012)が提唱した「エンクローズド・コグニション(enclothed cognition)」では、見た目や身につけるものが心理状態に作用することが示されています。髪を整えることで、たとえ生活が混乱していても「自分はちゃんとコントロールできている」という感覚=主体性が戻ってきます。これはストレスや不安を抱えるときほど効きます。
実際、新しい髪型は自信と自己肯定感を高め、ドーパミンが分泌されて気分が上向くことが、複数の研究や心理学的観察で指摘されています。「リセットボタンを押す」ような感覚は、思い込みではなく、ちゃんと裏づけがあるのです。
スピリチュアルの言葉と、科学の言葉を並べてみると、こうなります。
| スピリチュアルの見方 | 科学の見方 | |
|---|---|---|
| 髪を切る意味 | 負のエネルギー・邪気を落とす | 区切りによるフレッシュスタート効果 |
| 切った後の感覚 | 心が軽くなる | ドーパミンによる気分の高揚 |
| 整える行為 | 神聖なものを手入れする | 主体性・自己コントロール感の回復 |
入り口は違っても、たどり着く場所は同じです。髪を切ると、心が軽くなる。
