自炊は、最強の副業

副業

昼にガパオライスを作った。
鶏ひき肉とピーマン、バジル、ナンプラー。目玉焼きはつぶれてしまった。
それでも、安い。それでも、おいしい。
旦那は私がつくったご飯をおいしいと喜んで食べてくれるので、それもうれしい。
皿の上のオレンジ色を見ながら、ふと思いました。やっぱり自炊が一番だな、と。

「やっぱり自炊が一番だな」と強く思います。
理由は3つあります。

1. お金は貯まる。そして、投資に回せる

今日のガパオライスを、家計簿アプリの感覚で振り返ってみます。

材料(2人分) 概算
鶏ひき肉 200g 240円
ピーマン・パプリカ 100円
玉ねぎ・にんにく・しょうが 50円
ナンプラー・オイスターソース等 80円
バジル(乾燥でも可) 50円
卵 2個 60円
ご飯(米2合) 100円
合計(1人あたり約340円) 680円

タイ料理店のランチ価格と比べると、1食あたりおよそ700円の差。
週5日の昼食を外食から自炊に切り替えれば、月14,000円・年168,000円。10年で168万円が、文字どおり台所から生まれます。
これは「我慢して節約した」のではなく、作っただけで自然に貯まったお金です。

そして、ここからがこの記事で一番伝えたいところ。
貯まった14,000円を、ただ預金に寝かせておくのはもったいない。全世界株式インデックスのような「ほったらかし投資」に回せば、台所が生んだお金が、もう一度自分のために働き始めます。

仮に月14,000円を、年5%の長期平均リターンで積み立てたとすると——

期間 元本累計 年5%で運用
5年 84万円 約95万円
10年 168万円 約217万円
20年 336万円 約575万円

ガパオライス一皿340円が、20年後には570万円超えの景色をぼんやりと見せてくれる。
これが、自炊から投資へつながる、ささやかな複利の入り口です。

2. 何より、おいしい

自炊で作ったガパオライスは、自分の好きな味付けにできます。
ナンプラーを少し控えめに、バジルを少し多めに、ご飯はやわらかめに。
旦那が「おいしい」と喜んでくれる。それが、外食の何よりも代えがたいと思うのです。

料理研究家の土井善晴さんは、家庭料理の本質をこう書いています。

「日常の食事は、ご飯と具だくさんの味噌汁で充分。あれば漬物を添えましょう。無理のない生活のリズムを作り、心身ともに健康であるために『一汁一菜』という生き方をはじめてみませんか」
― 土井善晴『一汁一菜でよいという提案』新潮文庫

立派でなくていい。手早くて、シンプル。
家族がおいしいと言ってくれれば、それが一番のごちそうです。

3. 健康にも、ちゃんとよい

ここは少しだけデータの話を。
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、食塩摂取の1日あたり目標量は男性7.5g未満、女性6.5g未満とされています。一方、外食や中食は保存性や味の濃さの関係で、塩分が多めに設定されているケースが少なくありません。

さらに厚労省の調査では、外食の利用頻度が高いほど、緑黄色野菜とその他の野菜の摂取量が少なくなる傾向が報告されています(厚生労働省「国民健康・栄養調査」)。
健康日本21(第二次)が掲げる野菜摂取の目標量は1日350g。これを外食だけで満たすのは、正直なかなか難しい。

自炊なら、塩は自分で量れる、油は自分で選べる、野菜は自分で増やせる。
40代以降、ちょっとした塩分・脂質の積み重ねは、将来の医療費としてゆっくり戻ってきます。
自炊は、未来の自分への前払い保険のような側面もあるのです。

3つの観点で並べてみる

観点 外食 自炊
お金 1食1,000〜1,500円 1食300〜400円
安定はしているが画一的 自分や家族の好みに合わせられる
健康 塩分・脂質・添加物が多めになりがち 塩分も野菜量も自分でコントロール可能

こうして並べてみると、なんだ、どの観点でも自炊が一番じゃないか、と思えてきます。

なぜ「副業」と呼ぶのか——本多静六が教えてくれること

副業と聞いて最初に思い浮かぶのは、ブログ、ライティング、せどり、配達、株式投資といった「外で稼ぐ行為」です。
それでも私が自炊を副業だと言いたいのは、ここに理由があります。

東大教授でありながら巨額の資産を築いた本多静六博士は、「四分の一天引き貯金」で知られます。彼はこう書いています。

「貧乏に強いられてやむを得ず生活をつめるのではなく、自発的、積極的に勤倹貯蓄をつとめて、逆に貧乏を圧倒するのでなければならぬ」
― 本多静六『私の財産告白』実業之日本社

ここでの肝は「自発的、積極的に」という一語です。
お金がないから仕方なく作るのは、ただの節約。
お金があっても自分の意思で台所に立つのは、副業。
この主体性のスイッチが入った瞬間、自炊は格上げされます。

月14,000円が静かに残り、それが投資に乗って複利で育ち、健康な体が積み上がり、家族の笑顔も増えていく。
これだけのリターンが揃う副業は、案外ほかにないと思うのです。

収入が増えても、台所に立ち続ける理由

収入が増えてくると、どうしても「もう自炊しなくてもいいか」となってしまう。これは、ある程度稼げるようになった人ほどぶつかる、静かな罠だと感じています。

それでも、いやむしろ今だからこそ、台所に立つ意味を強く感じています。
お金は貯まる、おいしい、健康にもよい。3つすべてを同時に手に入れられる行為は、思いのほか少ない。
自炊は、できる立場の人ほど続けたほうがいい——そう、最近の私はあらためて思っています。

目玉焼きは、潰れていい

完璧な目玉焼きをのせる必要はありません。
潰れていても、安いし、おいしいし、体にいい。
そして、家族が喜んでくれる。


📚 この記事で参考にした本

  • 土井善晴『一汁一菜でよいという提案』新潮文庫(Amazonで見る
  • 本多静六『私の財産告白』実業之日本社(Amazonで見る

※健康・栄養に関する数値の出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」、厚生労働省「国民健康・栄養調査」、健康日本21(第二次)。
※食材費・外食価格は2026年5月時点の関東エリアの一般的な相場を参考に算出しています。
※運用シミュレーションは年5%の長期平均リターンを毎月複利で機械的に試算したもので、将来の成果を保証するものではありません。

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